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センチメンタル・シティ・ロマンス ライブリポート
2012年 06月 19日
2012年6月12日渋谷BYGに、センチメンタル・シティ・ロマンスのライブを見に行った。センチとしては初めてのBYGらしい。BYGは1969年に設立され、“はっぴぃえんど”、“はちみつぱい”、“遠藤賢司”、“頭脳警察”などのライブが行われていたが、1973年に店の都合でライブは中止。カフェとスタジオのみの経営に転じた。1999年に再びライブが復活され、“BEGIN”の連続70回マンスリーライブ等、現在も様々なアーティストのライブを行っている。告井さんは以前(約40年前)に“乱魔堂”で出演したらしい。中野さんは4月に“完熟トリオ(小坂忠、鈴木茂、中野督夫)”で演奏したばかりだ。
開演30分前。既に会場は満員で熱気に満ちていた。まずは今年8月に出したフルアルバム「やっとかめ」の1曲目でもある「ひさしぶりだね」から。Sgt. Pepperなんちゃってジャズ?でもやっぱりみんな上手い。中野さんの荒いギターがジャズの型にはまらずかっこいい。 サクッと1曲目を終え、お次の2曲目はアルバムの曲順通り「旅の途中」。アルバムでは小坂忠さんのボーカルも入っているこの曲は思わず口ずさむメロディーが心地よい。後半のコーラスの盛り上がりでグイっと惹きつけられる。 3曲目はドラムの野口さんリードボーカルの「Nonkey Tosan」。相変わらずの美声。この曲は夕陽を横に見ながら海沿いをドライブしている気分にさせられる。ライブだと尚更そんな気に。 4曲目は中野さんボーカルの「Sun Sunny Friend」。「ララララ~」と最後にみんなで合唱。“Roger Nichols & Small Circle Of Friends”が大好きな私はこの曲の持っている雰囲気が好き。またこの曲のドラムは野口さん以外に考えられない。 みんなで合唱した後の5曲目は細井さんボーカルの「フルサトヲオモフ」。ニューオリンズ風の軽快なリズムにちょっと切ない歌詞。じっとしていられない細井さんの熱いパフォーマンスにいつも釘づけ。 ちょっと雰囲気を変えて6曲目は中野さんボーカルの「夢と逸(はぐ)れて」。「Turning Point」を思わせるややシリアスな曲。エンディングに出てくる細井さんのフルートも木枯らしを感じさせ涼しくなる。 「やっとかめ」からの最後の曲は告井さんボーカルの「ある朝目が覚めたら」。告井さんの得意?なポップでキャッチ―な曲。ライブだとアルバムよりもロックな感じが強調され私好みに。 1部の残りは昔の曲から何曲か披露。まずは告井さんの「恋の季節PartⅠ」。美しいコーラスと甘いベースの音がとても気持ちいい。オリジナルに極めて近く、BYGのような喫茶店でレコードを聴いている気分になった。 次は中野さんの「小童(こわっぱ)」。ちょっとおどけたジャズ風?蛙と田んぼが頭に浮かんだ。ちょうど今頃の季節の歌だ。楽曲も凝っている。 1部の最後の曲は中野さんボーカルの「風の街で」。曲を作ったのは細井さん。詩は元センチの事務所の社長の竹ちゃん。今回のライブでセンチに演奏しほしい曲のリクエストを募ったところこの曲が最初にリクエストされたらしい。分厚いコーラスワークと力強い演奏に脱帽。この曲は仲間との別れの歌。でもいつかまた会えるから夢を捨てないで。そんなメッセージに思わずグッときた。 2部の1曲目は「Moonshine & Sunshine」。センチの代名詞である完璧なコーラスワークから始まるこの曲はライブで聴く度に出だしのアカペラで鳥肌が立つ。三重県の合歓(ねむ)の郷でレコーディングされたセンチのセカンドアルバム「Holiday」に収められているが、この曲だけはなんと野外で月を見ながら録音されたそうだ。そんな逸話を知っているからか、静かな星空が浮かんでくる。 続いてお次は細井さん作詞作曲の「僕だけのメロディー」。ボーカルは3人でそれぞれ歌い回していた。転がるような細井さんのピアノはとても爽やかでドライブにもってこい。これぞシティポップ! ゆったりと始まったのは「ステキッスキップ」。このみんなで揺ら揺らしたくなるテンポにどこか遠くに響いているように聞こえるツインギター。いつまでも揺れていたくなる果てしなく気持ちのいい空間、、、これはいったい何だろう? お次は告井さんのボーカルが光る「夏の日の想い出」。最後の方に転調してコーラスがガツンと入るところの、あのエネルギーが柔らかく炸裂する瞬間は凄い。ライブならでは。 次の曲は「うん、と僕は」。この詩的な空気感と楽曲の凝りようったら!歌詞の内容を聴きながらCDで聴くのもいいけどやっぱりライブの緊張感がいい。各パートの演奏力にも圧倒される。 ここで次はちょっとボサノバな「魅惑のサンバ流るる今宵」。様々な擬音語、擬態語が溢れる遊び心のあるポップな曲。二人の恋の行方が気になるキュートな詩も魅力。 次の告井さんの「庄内慕情」は一つ間違えると演歌。でもセンチにかかるとフォークでも演歌でもない独自なサウンドになって面白い。センチは、ボサノバでもジャズでもフォークでもみんなセンチ風に外しているところがいい。そうそう、2番の歌詞で告井さんはコブシをコロコロさせてみんなを笑わせていた。 ここで「ロスアンジェルス大橋Uターン」。カリフォルニアの青くて広い空を想像させてスカッと爽やか!中野さんのストラト、告井さんのスチールギター、細井さんのピアノ、野口さんのドラム、信ちゃんのベース、みんなのコーラスワーク。どれか1つでも欠けたらこうはならない。「ゆったりしてるかい?」の歌詞に思わずうなずく。 そろそろ終わりに近づいてきたところで「おかめとひょっとこ」。徐々に盛り上がっていくこの曲はライブで必聴!メンバーそれぞれのソロタイムもあり、エンディングにスピードアップした2ビートが楽しい。 ドラムが軽快なリズムを刻み始めたら本編最後の「Highway Song」。私が一番好きな曲。イントロを聴いただけでもうワクワク!既に盛り上がっているところに中野さんのストラトのギターソロで更にヒートアップ。エンディングに掛けてのラストスパートも圧巻!終わった瞬間思わず立ち上がった。 お客さんの興奮も醒めないままそのままアンコールへ。そしてあの細井さんのピアノが興奮を煽る「うちわもめ」のイントロが始まった。中野さんのテレキャスターと告井さんのブロードキャスターのツインギターはやっぱりいい。このテレキャスターは75年のレコーディングでも使用された物らしい。ライブバージョンの「うちわもめ」は曇り空もパッと晴れさせる勢いが感じられ爽快。 最後はアコースティックギターで「明方小話」。この曲を聴くと優しさ溢れた柔らかな朝日に包まれている気分にさせられる。早朝の名古屋港で作った曲らしい。タイトルのセンスも抜群。 今回センチのライブを見て改めてセンチはライブバンドなんだなと実感した。 客席で聴くといいのにステージの袖で聴くとがっかりというバンドもよくある中でセンチはどこで聴いても同じようにいい。自分達の音を熟知していて、どんな会場でもバランスを取ることができるし、ちょっとしたトラブルにも動じない。 メンバーそれぞれ数えきれない程のスタジオワークもこなしているが、ごまかしの効かない生ライブの現場を何よりも大切にしている。何だか色々と学ぶことがありそうだ。 この日本最古のロックバンド、センチメンタル・シティ・ロマンスのライブをこれからもずっと見続けたい。まだ体験していない人は是非一度ライブに足を運んで、彼らの休むことを知らない現役っぷりに驚かされて欲しい。 reporter: baru
by talk_oh3
| 2012-06-19 10:47
| ライブ
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